
マレーシアへの教育移住を考えるご家庭の中には、日本の幼少期からのお受験体験や、いわゆる「詰め込み型」の教育に疑問を感じ、もう少し自由な環境で子どもを学ばせたいと考えている方が多くいらっしゃいます。
実際、マレーシアのインターナショナルスクールでは、英語で学ぶことはもちろん、プレゼンテーション、ディスカッション、課外活動、多文化環境など、日本とは異なる教育環境に触れることができます。
ところが、子どもが学校生活に慣れ、英語も少しずつ使えるようになってくると、「英語は話せるようになってきたけれど、学力面は大丈夫だろうか」「IGCSEでは、どのくらいの結果が出ている学校なのだろう」「大学進学を考えると、Academic面も気にした方がよいのでは」と、今度は成績が気になってくるでしょう。
これもまた、親としては自然なことなのかもしれません。
本記事では、マレーシアの主要なインターナショナルスクールの学費とIGCSEの成績(2026年公表実績)を比較しながら、Academicな視点も含めた学校選びのヒントをお伝えします。
まず大前提として、IKI LINKSではPrimaryの段階から、学校の試験結果だけを見て学校選びをする必要はないと考えています。
子どもにとっての「良い学校」は、まず本人が安心して楽しく通える学校です。先生との相性、友達との関係、学校の雰囲気、通学時間、課外活動、英語環境など、数字では測れない要素も非常に重要です。「本人が学校は楽しい」と思えているか。Primaryでは、まずこの視点を大切にしましょう。
一方、Secondaryに入り、IGCSE、その後のA-LevelやIB、そして大学進学が見えてくると、少し事情が変わってきます。試験の点数だけが教育ではありませんが、将来の進路を考えれば、良い成績を取っておくことで選択肢が広がるのも事実です。
そのため、Year 8〜9くらいになった段階から、お子様の進路の方向性(文系か理系か、理系でも生物学系か工学系か等)を確認しつつ、「この学校ではIGCSEでどの程度の結果が出ているのか」「自分の子の現在の学力にマッチしているのか」を、学校選びの一つの材料として把握しておいてもよいと思います。このタイミングで全てが決まっているわけではないので、あくまで方向性を確認しつつ、将来の進学先などを考えるタイミングになります。
2025-2026のアカデミックイヤーのIGCSEの結果が主要なインターナショナルスクールより発表されています。そのため、弊社では2026年のIGCSE結果を各校の公式Webサイトや公式SNSから確認しました。比較に使用したのは、原則として「全受験科目のうちA*またはAを取得した割合」です。
学校により他の情報を発表している学校や過去の情報を掲載したままの学校もありましたが、その学校はこのリストから外しています。また、IGCSEのカリキュラムではない学校は対象外となります。
学校によりさまざまな条件が異なってきますので、この数字だけで学校の教育力を順位付けするという意図はありません。学校によって、生徒数、受験科目数、入学時の選抜性(英語力・学力などの入学基準)、生徒の英語力、Exam Board(どの試験機関のテストを採用しているか)、科目構成などが異なるからです。今回の比較は、あくまで学校のAcademicな傾向を見るための一つの参考資料としてご覧ください。
今回の調査で特に目を引いたのが、elc International School Cyberjayaです。同校の公式サイトでは、2026年のIGCSEの結果について「83% Distinctions」と発表しています。
この「Distinctions」とは、一般的にA*やAといった上位グレードに相当する「優秀な成績」を指す表現です。しかし、同校は「83% A*–A」とは書かず、あくまでDistinctionsという表記を使っています。
そのため本記事では、elcの83%を他校のA*–A率と完全に同一の指標として順位付けすることはせず、参考値として掲載します。
【表記上の注意】
elc Cyberjaya:2026年 83% Distinctions(学校公式表記)。他校のA*–A率とは表現が異なるため、参考比較として掲載。
| 学校 | エリア | 2026 IGCSE公表結果 | Year 11年間学費 (参考値) | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| elc International School Cyberjaya | Cyberjaya | 83% Distinctions | RM51,000 | 公式表記がA*–Aではないため参考値 |
| Garden International School | KL | 70% A*–A | RM126,870 | 上位成績帯 |
| Alice Smith School | Selangor | 69% A*–A | RM122,370 | Value Addedも公表 |
| King Henry VIII College | Cyberjaya | 67% A*–A | 約RM89,000 | A*単独42%、A*–B 85% |
| British International School KL | Selangor | 66% A*–A | RM125,425 | 2025/26公式結果 |
| Epsom College Malaysia | N.Sembilan | 65% A*–A | RM111,690 | A*–B 86% |
| Marlborough College Malaysia | Johor | 65% A*–A | RM146,400 | Day student学費 |
| GIIS Kuala Lumpur | KL | 61.11% A*/A | 約RM41,000 | 全subject entriesベース |
| Tenby Setia Eco Park | Selangor | 58% A*–A | 約RM72,000 | A*–B 80% |
| Sri KDU Subang Jaya | Selangor | 55% A*–A | RM63,740 | 21%が9科目A*–A |
| POWIIS | Penang | 55% A*–A | 約RM59,100 | 非選抜を明記 |
| Kinabalu International School | Sabah | 55% A*–A | RM45,612 | 過去10年以上で最高 |
| KTJ | N.Sembilan | 50%超 A*–A | 約RM89,900 | A*–B 75%超 |
| Reigate Grammar School KL | Selangor | 50%超 A*–A | 約RM94,500 | 初期cohort |
| Uplands | Penang | 49.6% A*/A | 約RM68,000 | 430 exam entries |
| Tenby Tropicana Aman | Selangor | 47% A*–A | RM67,530 | A*–B 74% |
| Nexus International School | Putrajaya | 45% A*–A | RM100,020 | Sixth FormはIB |
| Sri KDU Penang | Penang | 43% A*–A | 約RM52,660 | |
| Tenby Penang | Penang | 42% A*–A | 約RM54,600 | A*–B 64% |
| Stonyhurst International School Penang | Penang | 41% A*–A | 約RM56,600 | Mathsは67% A*/A |
| Tenby Setia Eco Gardens | Johor | 40% A*–A | 約RM51,200 |
下の図は、Year 11の学費と2026年のIGCSE公表結果をプロットしたものです。elc Cyberjayaのみ、学校公式表記がA*–A率ではなく「83% Distinctions」のため参考値として表示しています。それ以外の学校はA*–A率です。左上ほど「比較的低い学費帯で、高いA*–A率」に位置します。

図:Year 11年間授業料と2026年IGCSE公表結果のポジショニング(elcは83% Distinctionsを参考値として表示)
学費とIGCSEの結果を並べると、一定程度は高学費帯に高いA*–A率の学校が集まっています。しかし、単純な比例関係ではありません。
Garden、Alice Smith、BSKLは年間RM120,000を超える価格帯ですが、A*–A率も66〜70%と非常に高い水準です。一方で、King Henry VIIIはそれより低い学費帯で67%、GIIS Kuala Lumpurも比較的抑えた学費帯で61.11%という結果を公表しています。Tenby Setia Eco Parkも約RM72,000の学費帯で58%、POWIISやKinabalu International Schoolも比較的抑えた学費で55%という結果です。
「学費が高いから必ず高い成績になる」わけでもなく、「学費が低いからAcademic面で不利」とも限りません。
このリストやグラフは公表情報からまとめていますが、あくまでこのマップは「学費とIGCSE公表結果を並べると、どのような分布になるのか」を見るための資料として考えるのがよいと思います。実際には、現在通われている学校がどこか、その学校のスコアがどのぐらいなのか、お子様の学力がどのぐらいかを見極めながら必要なサポートを自宅で考えてあげる材料にしてもらえればと思います。
例えば、入学時点でAcademicに強い生徒が多い学校と、幅広い学力層の生徒を受け入れる学校では、同じA*–A率でも意味が違います。生徒数が少ない学校では、一学年の結果によって比率が動きやすいこともあります。
また、学校によってExam Boardや履修科目の構成も異なります。日本人生徒の場合、英語力が学年相当ではなくでも受け入れてくれる学校があります。その姿勢はありがたいですが、一方で、Academicでの評価が振るわないなども発生していると思われます。逆に英語力が学年相当ではないところから、Academicでの評価を上げてくれる学校は素晴らしい学校と言えるかと思います。
学校全体として継続的に高い結果が出ている場合、授業の進め方、教師のサポート、試験準備、生徒同士の学習姿勢、学校全体のAcademic cultureなど、成果につながりやすい環境が存在している可能性はあります。最終的な成績は本人の学習状況をはじめ、学校・家庭を含むさまざまな要因の影響を受けます。そのうえで、「努力しやすい環境かどうか」という点では、学校の違いも参考になるかと思います。
今回のデータは、学校選びの一材料としては有用です。しかし実際には、「この学校に入ればAが取れる」というものではありません。同じ学校に通っていても、生徒によって成績には当然大きな差があります。
むしろ学校を見る際には、Academicな結果そのものだけではなく、「その学校にいることで、本人が勉強する気になるのか」という視点も重要だと思います。
こうした部分は数値には表れにくいですが、最終的な成績には大きく影響すると思います。
Primaryの段階では、まず子どもが楽しく学校に通い、英語を使いながらいろいろな経験を積めることを優先しましょう。小学生のうちからIGCSEのA*率を見て学校を決める必要はありません。
一方、Secondaryに入り、大学進学が現実的になってきたら、「本人が楽しく通えるか」に加えて、「本人のAcademicな力を伸ばせる環境か」「家庭のサポートでカバーできるか」という視点も加えてよい時期だと思います。
マレーシアには非常に多くのインターナショナルスクールがあります。高い学費の学校にはその学校なりの良さがありますし、比較的リーズナブルな学校にも、それぞれ異なる魅力があります。試験結果、学費、校風、先生、友人関係、通学環境、課外活動、英語環境、本人の性格、そして将来の進路。こうした要素を総合的に見ながら、その子に合った学校を選ぶことが一番大切だと思います。
「そもそもA*やAとはどのくらいの成績なのか」「A*–A 70%とは何を意味するのか」「C以下だとどうなるのか」については、別の記事で詳しく解説しています。IGCSEの数字を学校比較に使う前に、Gradeの仕組みを理解しておくと、今回の表もより分かりやすくなります。
本記事は、2026年9月時点で各学校が公式Webサイト、公式SNS等で公表した情報をもとにIKI LINKSが整理したものです。学校によって試験ボード、生徒数、受験科目数、入学選抜、生徒構成等が異なるため、IGCSE A*–A率のみで学校の教育水準や優劣を評価する意図はありません。
elc Cyberjayaについては、学校公式発表が「A*–A」ではなく「Distinctions」となっているため、他校とは参考比較として掲載しています。
また、学費はYear 11相当の年間授業料を目安としており、取得時期や含まれる費用項目が学校ごとに異なる場合があります。実際の学校選びにあたっては、各学校の最新公式情報をご確認ください。
「将来の進学も見据えて、小さいうちからどんな環境を整えてあげればいいか」「まずは何から準備すべきか」など、ゼロからの教育移住計画はぜひ弊社にお任せください。