
マレーシアのインターナショナルスクールで英国式カリキュラムを選んだ場合、IGCSEの後にA-Levelへ進むご家庭も多いと思います。
その際によく聞かれるのが、「A-Levelを取ったら、日本の大学にも進学できるのか」「日本の大学ではA-Levelをどのくらい評価してくれるのか」「A*AAやAAAを取れば合格できるのか」「A-Level以外にSATやTOEFL、面接なども必要なのか」といった質問です。
結論からいうと、A-Levelを使って日本の大学へ進学することは十分可能です。
ただし、日本の大学入試では、英国の大学のように「A*AAなら条件付き合格」という形でA-Levelだけを基準にするケースは多くありません。しかも、学校により条件が異なり、また年度により変化があるため、希望の大学などがある場合は、最新情報をチェックしておく必要があります。最近は特に学校ごとに入学条件を変えている印象があります。
具体的には、A-Levelを大学入学資格として認める、A-Levelを標準化試験の一つとして評価する、高校成績・小論文(Essay)・推薦状・英語資格・面接(Interview)などと合わせて総合評価する、という大学が多くなっています。
そのため、「A-Levelが使える大学」と「A-Levelだけで合格できる大学」は分けて考える必要があります。
International A-LevelやGCE A-Levelを持っていることで、その大学への出願資格を満たせるケースです。ただし、出願資格を満たしたからといって、合格が保証されるわけではありません。
A-LevelのA*、A、BなどのGradeを、SATやIBなどと同じように学力(Academic ability)を示す資料として評価するケースです。大学によってはAAA以上、A*AA以上などの期待値や推奨水準を示していることもあります。
日本の英語学位プログラムでは、A-Levelに加えてTOEFL / IELTS、高校の成績証明書(Transcript)、小論文・志望理由書(Essay / Statement of Purpose)、推薦状、面接、大学独自の選考などを組み合わせて合否を判断するケースが多くなっています。
2027年入学についてInternational A-Levelを正式に認めています。A-Levelについては「3科目でA以上」という期待水準を明示しています。ただし、これは足切りライン(cut-off score)ではなく、AAAなら合格、AABなら不合格という単純な基準ではありません。A-Levelは重要な学力資料ですが、最終的にはほかの出願書類を含めた総合評価になります。
Automotive Engineering - Mechanical Engineeringでは、A-LevelについてA*AA以上が推奨スコア(Recommended Score)です。こちらも最低ライン(Minimum)ではなく推奨水準(Recommended)です。理工系では総合Gradeだけでなく、MathematicsやPhysicsなどの履修科目も重要になります。
2027年秋から始まる英語学位プログラムで、International A-Level / GCE A-Levelを正式に受理します。A-Levelだけを提出すればよいわけではなく、対象の履修コース(Track)に必要な統一試験・資格(Standardized Test / Qualification)、英語能力、出願資格のすべてを満たす必要があります。
International A-LevelやGCE A-Levelを標準化試験として利用できます。ただし、最低A-Level Gradeは公表されておらず、選考はA-Levelだけでは完結しません。書類審査、英語力、オンライン面接があり、面接ではMaths・Physicsの問題が出題されると案内されています。
英語学位プログラムでA-Levelを正式に受理しています。ただし、A-Levelの最低Gradeや合格者平均について、共通ページでは公開していません。学部によって書類選考や面接などがあり、A-LevelのGradeだけで合格が決まるわけではありません。英語学位プログラムでは、出願時に日本語能力を求めない学部もあります。
大学全体で一律ではありません。PEARLでは2027年9月入学からStandardized TestとしてIBまたはSATを受け付け、A-Levelでは代替できません。一方、SFCのGIGA ProgramではGCE A-Levelを利用できます。したがって、慶應はプログラム単位で確認する必要があります。
FLA / SPSF / DGTechなどの英語学位プログラムでGCE A-Levelを標準化試験として利用できます。ただし、TOEFLまたはIELTS、成績証明書、推薦状、小論文なども必要で、A-Levelだけで合否が決まる仕組みではありません。
English Language Based AdmissionsでUK GCE A-Levelを利用できます。成績証明書、志望理由書、推薦状、Standardized Testなどを含めて総合評価します。A-Levelについて最低合格Gradeは設定していません。
A-Levelについて独自換算による最低基準スコア(Minimum Score)を公開しています。A*=5、A=5、B=4、C=3として上位2〜3 科目で合計8以上が最低条件です。ただし、最低条件を満たしても合格を保証するものではなく、英語条件等も別途あります。
GCE A-Level / International A-Levelを正式な大学入学資格として認めています。英語力としてIELTS等の基準を満たす必要があり、A-Levelの具体的なAAAなどの最低Gradeは公表ページでは示されていません。
英語学位プログラムでA-Level / International A-Levelを大学入学資格の一つとして認めています。ただし、AO入試として英語力や出願書類を含めて選考します。
GCE A-Level / International A-Levelを大学入学資格として認めています。最低条件としてA-Level 2科目以上、3科目以上の提出を強く推奨しています。英語基準や録画面接(Recorded Interview)など別条件もあります。
| 大学・プログラム | A-Level | 公表Grade目安 | A-Level以外の主な条件 | A-Levelだけで合格? |
|---|---|---|---|---|
| 東京大学 College of Design | ○ | AAA以上が期待値 | 総合審査 | × |
| 名古屋大学 G30 Automotive | ○ | A*AA以上推奨 | 出願書類等 | × |
| 東北大学 Gateway College | ○ | 明示なし | 英語力・履修コース別科目 | × |
| 京都大学 Civil Engineering International | ○ | 最低値非公表 | 英語力・書類・面接・Math/Physics | × |
| 早稲田 英語学位 | ○ | A-Level最低値非公表 | 成績証明書・学部別書類・面接等 | × |
| 慶應 PEARL | × | — | SAT/IB+TOEFL/IELTS | — |
| 慶應 GIGA | ○ | 明示なし | 書類選考等 | × |
| 上智 FLA/SPSF/DGTech | ○ | 明示なし | TOEFL/IELTS・小論文・推薦状等 | × |
| ICU ELBA | ○ | 最低Gradeなし | 成績証明書・小論文・推薦状・英語力等 | × |
| 立教 PEACE | ○ | 独自換算8以上 | 英語条件等 | × |
| 同志社 ILA | ○ | 明示なし | IELTS等 | × |
| 立命館 英語学位 | ○ | 明示なし | 英語力・AO書類等 | × |
| APU | ○ | 2科目以上、3科目推奨 | 英語力・面接等 | × |
大学によって違うため、「AAAなら日本のどこでも大丈夫」とは言えません。
ただし、今回確認した上位大学を見ると、東京大学College of DesignがAAA以上を期待値、名古屋大学G30 AutomotiveがA*AA以上を推奨しています。
そのため、日本の上位英語学位プログラムを幅広く狙いたい場合、A-Level 3科目でAAA前後以上は一つの分かりやすいAcademicな目標になると思います。
ただし、これは大学共通の合格ラインではなく、A-LevelのGradeは「出願できる大学の選択肢を広げるための学歴・学力証明(Academic profile)」と考える方が正確です。
特に理工系を志望する場合、A-Levelの総合Gradeだけを見るのでは不十分です。Mathematics、Further Mathematics、Physics、Chemistryなど、何を履修しているかが非常に重要です。
「A*AAを取ったから大丈夫」ではなく、「大学で学びたい分野に必要なA-Level科目を取っているか」まで考える必要があります。
今回紹介した大学の多くは、英語で学位を取得できるプログラムです。早稲田の英語学位プログラムでは出願時に日本語能力を必要としない学部があり、京都大学Civil Engineering International Courseも授業は英語です。ICUもEnglish Language Based Admissionsでは日本語力を出願時に求めませんが、入学後にJapanese Language Programを履修します。
そのため、「日本の大学に行くなら日本語入試を受けなければならない」というわけではなく、マレーシアでIGCSE → A-Levelと学び、そのまま英語で日本の大学へ進学するルートも十分に存在します。
A-Levelは英国だけで使える資格ではありません。日本でも、国公立大学、早稲田・上智・ICUなどの英語学位、慶應GIGA、立教PEACE、同志社ILA、立命館、APUなどで利用できます。
一方で、日本の大学入試は大学・学部ごとに仕組みが違います。A-Levelを重視する大学もあれば、出願資格としてのみ使う大学もあります。A-Level以外にTOEFL / IELTS、小論文、推薦状、面接、高校成績を重視する大学もあります。
したがって、「A-Levelで何点取れば日本の大学に受かるか」と考えるより、「A-Levelで高いGradeを取り、大学ごとの追加条件にも対応できる準備をしておく」と考える方が実際の入試には合っています。
教育移住を検討する際、「海外のカリキュラムを選んだら、日本の大学には戻れなくなるのでは」と心配される方もいます。しかし、A-Levelを正式に認めている日本の大学は複数あり、英語だけで学位を取得できるプログラムも増えています。
そのため、IGCSE → A-Level → 日本の英語学位というルートも、現在では十分現実的な選択肢です。
大学名だけではなく、本人が何を学びたいか → 大学で必要なA-Level科目は何か → IGCSEではどのGradeを目標にするか、と逆算して考えていくと、Secondary以降の学校選びも少し分かりやすくなるのではないでしょうか。
本記事は、2026年9月時点で各大学が公表している2027年度前後のAdmissions情報をもとに整理しています。
大学の入試制度は、大学単位ではなく学部・プログラム単位で異なる場合があります。特に慶應義塾大学のように、PEARLではA-Levelを利用できない一方、GIGAでは利用できるケースもあります。
また、記事中の「AAA」「A*AA」等は、大学が公表している期待値・推奨値であって、特に記載がない限り合格最低点を意味しません。
出願資格を満たしていても合格を保証するものではなく、英語力、高校成績、小論文、推薦状、面接等を含めた総合評価が行われる場合があります。
実際の出願時には、必ず希望する入学年度・学部・プログラムの最新の募集要項をご確認ください。
「我が子に合う環境をどう探せばいいか」「将来の目標に向けて、どの学校からスタートすべきか」など、これからマレーシアへ教育移住されるご家庭ごとのプランはぜひ弊社にご相談ください。