2024/08/09
マレーシアのインターナショナルスクールで学ぶ子供たちは、日本人としてのアイデンティティを維持できるのでしょうか?
マレーシアに移住されたご家族との会話の中で、このテーマについての相談を受けることがあります。
そこで、本ページでは「日本人のアイデンティティをどのように育むべきか」について深掘りしてみたいと思います。
まず、日本で生活する日本人がこの問題に直面することは少ないでしょう。
日本という環境にいることで、「日本人としてのアイデンティティ」について疑問を持つ機会が少ないからです。私自身も、日本にいるときにはそのようなことを考えたことはありませんでした。
アイデンティティとは、「自分が何者であるかを自覚すること」とも言えますが、日本で育つ日本人の子供たちが当たり前のように「自分は日本人である」というアイデンティティを築く一方で、多文化・異文化環境の海外で教育を受けて育った子供たちは、「日本人としての自分」のアイデンティティが複雑なものとなっているように感じます。
私は立場上、多くの留学生と話す機会があります。
彼らに「日本人のアイデンティティをどのように育てたか?」と尋ねることがあります。多くの人が言うように、「日本語ができること」や「日本の歴史を理解すること」だけでは不十分なようです。
例えば、ある方は小学生の低学年から海外のインターナショナルスクールに通い、週末は現地の日本人補習校で学んでいました。それでも、日本の同級生と遊んでいると、何かが違うと感じるそうです。日本語をしっかり学んでいても、それだけでは違和感が残るとのことです。
また、ある方はインターナショナルスクールの歴史の授業で第二次世界大戦について議論した際、中国出身の同級生から日本についての批判を聞かされました。その経験から、自分でも調べて日本の立場を説明することで、自分が日本人であることを意識したそうです。
しかし、日本人同士の会話の中でも認識の違いからくる考え方や話し方なのか、違和感を覚えることがあると言います。
アイデンティティの形成についての学術的な視点では、単なる言語や歴史の理解にとどまらず、日々の生活や地域コミュニティ、学校での経験など、多くの要素が絡み合って個人のアイデンティティが形成されることが様々な研究で示されています。
そのため、海外で育つ中で「日本人としてのアイデンティティ」を完全に身につけるのは難しいかもしれません。
私の家庭でも、息子を4歳から10年以上マレーシアのインターナショナルスクールに通わせていますが、「日本人としてのアイデンティティ」を完全に持っているかは疑問です。
マレーシアに移住した当初は、日本語を忘れないよう日本語の本を読ませたり、漢字の書き取りなどをさせたこともあります。
夏休みの日本への一時帰国時には、日本の小学校に聴講生として通わせ、日本の学校生活を学ぶ機会を提供もしました。両親の墓参りをしたり、地域の祭りに参加したりもしました。
家族内では常に日本語でコミュニケーションを求め、親子は日本語でコミュニケーションを取るようにしています。
こうした行動で、息子に自分のルーツを理解させるよう努めています。しかし、これで十分なのかどうかはわかりません。
マレーシアに移住しているご家族の中には、子供を小学校時代に日本人学校に通わせたご家族もいますし、小学校ではインターナショナルスクールを選び、中学からは日本人学校に切り替えたご家族もいます。
家族それぞれで、お子様の様子を見ながら、必要となる行動を取られているかと思います。
海外でお子様を教育することを選んだ時点で、日本人が持つ「日本人としてのアイデンティティ」を完全に求めるのは難しいかもしれません。しかし、日本の国籍を持つ日本人として、日本と海外の違いを認識し、理解してもらえるような日本人になってほしいと思います。
新たに「日本人(インターナショナル版)」というカテゴリーがあっても良いのではないでしょうか。
海外で学んだ子供たちが日本と海外の違いを理解し、より良い日本を作り上げる一員となることを願っています。
親としては、無理難題な要求をするのではなく、子供の性格を理解しつつ、「自分は日本人である」ということを家庭内で行動や経験を通じて実践し伝えていくことが大切だと感じています。
お子様の海外での教育を考える中で、悩まれることが多々あるかと思います。今回取り上げた「お子様のアイデンティティ」に関する悩みも、その1つだと思います。
弊社にはマレーシアで子供を育てている日本人スタッフもおります。これまでの経験や弊社のお客様の事例などを踏まえ、それぞれのご家庭のニーズに合わせたマレーシアへの教育移住の実現に向けたアドバイス、サポートをさせていただいております。
もし悩まれていることがありましたら、ぜひご相談くださいませ。