我が家が4歳の息子を連れてマレーシア・ジョホールバルに移住を開始したのが2014年3月の終わり。
今では懐かしく印象的な思い出となっていますが、移住してからの最初の数ヶ月は色々なトラブルが起こりました。日本から引っ越しして間もない私たちにはとても衝撃的な出来事でした。
今回のコラムでは、特に印象的だった3つのトラブルと考えられるその対策法について実体験をもとにご紹介したいと思います。
我が家が越して住み始めたコンドミニアムはまだ建ったばかり、入居が始まって数ヶ月でした。日本のマンションに比べると全てが大きく、共用施設もプール、テニスコート、バスケットコート、バドミントンコートと充実しており、ワクワクした生活の毎日でした。
住人もまだあまり多くなく、我が家と同じように移住してきたばかりの外国人ご家族が数件、そしてマレーシア人のご家族が数件という印象でした。
引っ越して間もなく、我が家には私の友人が日本から小さな子供を2人連れて泊まりに来ていました。我が家にとってはそれが幸いでした。
ある日の夜中、なんとなくガサゴソと物音を感じました。別室で寝ている友人の子供も小さいし、夜中に目を覚ましたのかな?くらいに特に気にも留めずに、再び眠りにつきました。
翌朝起きてみると、リビングの椅子に置いていた私のカバンの中身が出されて、お財布の中身がありませんでした。
パスポートは近くに放り出されていました。なくなった現金は大した金額ではありませんが、「えー!誰かが家に入ってきたの?」と、急に怖くなりました。
日本から来たばかりで平和ボケしている私は、換気のためベランダの窓を少し開けたまま寝ていたのです。
住んでいたのは20階。コンドミニアムには警備員も24時間常駐しているため、すっかり安全だと信じていたのです。
コンドミニアムの入り口には"guardhouse"と呼ばれる守衛室があり、24時間警備員が常駐している。部外者の立ち入りには身分証の提示または提出を求められる。
当時引っ越してきたばかりで現地の銀行口座はまだなく現金を持つしか方法のなかった私たちは、かなり大きな金額を机の引き出しに入れていました。
確認したらこちらは全くいじられた様子はありませんでした。そう、幸いにも友人が泊まっていた部屋の机に入れておいたのです。犯人も寝ている部屋までは入れなかったようです。
その後、同じ時期に移住してきたご家族とLINEでメッセージをやりとりしているうちに、我が家以外にも数名の方が被害に遭われていることが判明してきました。
なかには数ヶ月分の生活費を現金で置いていたのを全て持っていかれてしまった方もいました。その方たちもベランダの窓を開けたまま寝ていたということでした。
マレーシアは暑いので、ついつい夜風が入ると気持ちいい、と皆さん同じ感覚だったのでしょう。
警察が防犯カメラを解析したところ、夜中の1時頃に不審人物が、警備員の目につかない裏側から侵入していたとのこと。外壁やベランダに着いた足跡から、命がけでベランダ侵入を繰り返し、各家に入った様子!
まさにスパイダーマンのような犯行。
その事件をきっかけに、海外で暮らす際は気を引き締めなきゃいけないんだなということを実感したのでした。
マレーシアでは街なかでの引ったくり事件や、貴重品の盗難事件などの軽犯罪は珍しくはありません。そのため、外出時にはトラブルに巻き込まれないよう意識して行動している人は多いと思います。
しかし、在宅時、しかもセキュリティ付のコンドミニアムの高層階であっても、盗難事件(もしかしたら盗難だけでは済まない事件)が起こりうる、ということは皆さんの頭の片隅に留めておいていただければと思います。
できる対策としては、
など、在宅時でも気を緩めすぎずに生活すると安心につながります。
万が一、被害に遭ってしまい警察に届け出る際は、どんな被害状況だったかなど、具体的に伝える必要があります。
警察官とのコミュニケーションはマレー語か英語になりますので、日本大使館が配布しているコミュニケーションボードをあらかじめ手元に準備しておくと便利です。
盗難被害、交通事故、落とし物をした際に想定される警察官とのやり取りがマレー語・英語・日本語の3ヶ国語で記されており、指差しでコミュニケーションが図れるようになっています。
移住生活を始めて2ヶ月が経った頃でした。
日本がゴールデンウィークに入る頃、主人がどうしても済ませなきゃならない用事のため日本に一時帰国することになりました。
私の生活は朝、4歳の息子を車で20分くらいの所にあるインターナショナルスクールに送り、午後3時頃迎えに行くという仕事以外は、お友達とランチに行ったり、買い物に行ったりするゆったりした毎日でした。
たまたま週末で、学校の送り迎えもなく、息子と二人。
起床から、なんとなく体調悪いな......という感じがしていましたが、急にふらっと目眩がして、ソファーに横になったまま微動だにできなくなってしまったのです。
頭痛で頭は動かせない、気持ち悪くて動けない、身体に力が入らない!人生初の症状でした。
主人は日本に帰国中でしたので、とりあえず主人の会社の方にヘルプの電話をし、息子は友達に預かってもらうことに。結局原因ははっきり分からなかったのですが、新生活の疲れと夏バテではないか?という感じでした。
常夏のマレーシア、自分が思っていたよりも身体はすぐに対応しきれなかったようです。
移住8年目の今では、安定したマレーシアの気候のおかげで、家族全員、年に一度風邪をひくかひかないか、となっています。
マレーシアには日本の国民健康保険のような制度はなく、クリニックや病院にかかると100%全額自己負担になります。
海外では、常日ごろからの体調管理は何よりも大切なことといえるでしょう。また、万が一に備えて民間の医療保険への加入も検討するとよいです。
私たち家族は、現地の医療保険に加入していて、入院時などはカバーされるようになっています。
保険については、「マレーシア移住で気になる、現地の保険事情について」の記事にまとめておりますので、ご覧ください。
できる対策としては、
あたりになります。特に、マレーシアの食べ物は脂っこいものも多いですので、日々食事のバランスには特に気を配りたいですね。
海外で車を運転する際に必要なのが、国際運転免許証です。日本の免許試験場などで取得することができますが、問題は有効期間が発行から1年のため毎年申請が必要ということです。
一方、マレーシアの運転免許証は一度取得できれば数年に一度の更新作業で済みます。大使館に頼み、日本の免許証の翻訳などの書類を揃えて申請すると簡単に取得できると聞き、JPJ(マレーシア交通局)を訪れました。
日本の国際運転免許証(左)とマレーシアの免許証(右)
まず、JPJに行き困ったのが、言葉です。
業務担当の方はみなさんマレー語で対応しています。英語を話して対応できる方もいると思うのですが、「ここはマレーシアなんだからマレー語で話せ」というような雰囲気がみなさんの対応から伝わってきます。
服装もムスリムの方に失礼のないように手足を見せない長袖長ズボンを履いていきましたが、どうやら主人と私は気にいらなかったようで、その日は免許取得できずに出直しとなりました。
今考えても何が悪かったのか全く分かりません。書類は全て揃っているのです。
そして、数日後出直して再びJPJへ。対応した方は嫌な予感......再び同じ方です。また拒否され免許取得ならず。
私が主人の妻であることを証明する婚姻証明書を持って来い、と言われ帰されました。前回はそんなこと言われませんでしたし、すでに取得している友人たちに聞いても、「そんな話聞いたことがない!」と言います。
懲りずに再びJPJへ。同じ方がまた対応し、「また来たのか」という顔をされました。
しかし、諦めない態度が認められたのか、3度目の正直でやっとマレーシアの免許が取得できたのでした!
何が原因で2度ダメだったのか、そしてなぜ3度目はOKだったのかは今だに謎ですが、とりあえず取得できて安堵しました。ジョホールバルでは毎日の生活に車はかかせないため、自分で運転ができないと何かと不便なことが多いのです。
免許の更新はとても楽で、希望交付年数(最大5年)を選んでお金を支払うのみ。忘れていて免許の期限が切れていても、更新してくれます。
日本ではあまりないかもしれませんが、マレーシアではよく起こること、それは役所での手続き等は担当者によって結果が変わるということです。
ルールが決まっているようで統一されてはいない!
毎回これは「運」と割り切るようにしています。
ここで大事なことは、
などの考え方を持つことです。相手に怒りや不満の態度を示したところで、自分たちにとっての良い結果は得られません。日本であれば態度で示してクレームを言えるかもしれませんが、マレーシアでは私たちは外国人。マレーシアのやり方に従うのはマストです。
このような出来事は、当時はもちろん大変と感じましたが、今となってはこれらから学び、精神的にも強くなり、今の平穏な生活があると感じています。
まだまだ色んなトラブルが起こるとは思いますが、これも異国に住む楽しみかもしれません!
今回は、マレーシアに移住してから実際に身に起こった印象的なトラブルについてまとめました。これから移住を検討される方の何かの参考になれば幸いです。