
マレーシアで不動産を購入したいと考える外国人にとって、購入条件や州ごとの最低購入価格、ローン利用などの制度面は、事前に必ず把握しておくべき重要ポイントです。
本ページでは、マレーシア主要エリアの不動産購入条件・制度を中心に、初心者でもわかりやすく解説します。
なお、物件選びのポイントや都市別の比較、投資リスクといった「購入戦略」については、別ページ「マレーシア不動産購入の注意点と物件選び|移住・投資の成功戦略」で詳しくご紹介しています。
制度の理解とあわせてご覧いただくことで、より納得感のある物件購入判断が可能になります。
マレーシアの不動産は供給過剰が顕著になっているマーケットです。
マレーシアにご旅行されたことがある方であればわかりますが、マレーシアのホテルは、基本的に安い料金に設定されています。
一説には、クアラルンプールを開発するときに多数のホテルを誘致したため、供給に需要が見合わず、料金を安くせざるを得なかったという話があります。
同様に、不動産に関しても供給過剰な状況があります。
ジョホールバルでは、RTS Linkの開通にむけて不動産の建設ラッシュが激しさを増しています。これまで建設した売れ残り物件をいかに捌くかという建物と、新たに建設して販売を促進しているという建物と、両面での動きがあります。

一方、クアラルンプールエリアはまだまだ建設途中の不動産も多数あり、これからの市況でどのように販売を進めていくべきかをデベロッパーも悩んでいる状況です。
昨今のニュースでもマレーシアには売れ残り新築物件が約23,000件もある(2024年末時点)ということです。
エリア別に見ると、クアラルンプールが未販売物件が一番多く、次いでジョホール州、ペラ州、ペナン州となっています。
マレーシアでの不動産売買の手続きには想像以上に時間を要します。現地の慣例では、申込から物件引き渡しまでにおよそ3〜6ヶ月かかります。これは新築・中古を問わず、多くのケースで共通しています。
時間がかかる主な理由は以下の通りです。
外国人が不動産を購入する場合、州当局による承認が必要です。各州の審査・承認手続きに数ヶ月かかることがあります。
ローンを利用する場合、銀行による審査に時間を要します。特に外国人の場合、追加書類や審査項目が多くなる傾向があります。
土地局で登記(名義変更)を申請します。
そのため、購入希望物件が決まってもすぐに入居・運用開始できるわけではないため注意しましょう。
マレーシアで購入した不動産は、購入目的やライフプランに応じてさまざまな形で活用できます。大きく分けると、以下の3つの方向性があります。
日本と比べて広々とした間取りや充実した共用施設を備えた物件が多いため、移住後の住居や別荘として利用するケースです。自己使用目的であれば、許される予算内で住みたい不動産を買えば良いということになります。
しっかり使い切った後は、売却することによって現金化も可能です。価値を維持する物件かどうかは目利きが必要になりますが、一番満足度の高い不動産活用方法となります。
購入物件を賃貸に出すことで家賃収入を得ることができますが、プレビルド物件での想定賃料には、「そうなってほしい」という売り側のプレミアムがついているため現実相場との乖離があります。
さらに賃貸相場の形成はコンドミニアムに対してであり、1つのユニットに対してではないため一軒だけでの相場コントロールは難しくなります。
また、物件の維持には内装費、管理費、サービス料、税金等様々なコストもかかってきます。賃貸需要・立地・管理状態などを事前にしっかり見極めることが重要になりますが、確実な利回り狙いは困難であるといえます。
将来的な値上がりを期待した場合、値上がりするのがいつどのタイミングなのか正確な予測は難しくなります。
ただし、前述の通り、マレーシア不動産市場は一部で供給過剰な建設ラッシュ事象が発生しており、値上がり予測の不確定要素となります。資金的に余力があり「待てる」場合を除いてはあまりオススメできるケースではありません。

私ども、永く現地での不動産売買をお手伝いした経験からしますと、短期でのマレーシア滞在の場合は、賃貸やサービスアパートメントでマレーシアライフをエンジョイされることをオススメしています。
ですが、中長期(10年程度)でマレーシアに滞在の場合、お気に入りの不動産を見つけて、内装も自分好みにして生活するのもオススメできます。
ただし、この場合もデベロッパーから素直に不動産を購入するより、現物物件でセカンドオーナーとして物件を所有することの方がメリットはあります。
マレーシアに限らず、他の国でも同様ですが不動産を所有する場合のメリット、デメリットをしっかり認識した上で、自分にとってのベストを選ばれることが何よりも大切かなと思います。
マレーシアで日本人が不動産を購入する場合、
① デベロッパーから新規に購入
② デベロッパーからの新中古 / 現オーナーからの中古物件の購入
③ Rent to Own(購入オプション付き賃貸契約)
上記3つのケースがあります。
まずは、それぞれのメリット、デメリットにはどのようなものがあるかという点から確認していきましょう。
新規物件として購入することが可能。デベロッパーとしては新規で購入いただけるならということで、たくさんのサービスを用意し、購入しやすい環境を作る努力をしてくれています。
メリット
デベロッパーからの購入の場合は、上記のすべてかいずれかをサービスしてもらえる可能性があります。しかし、このようなサービスが物件価格に反映されていることが往々にして発生しています。こうした点を知っているかどうかはとても大切ですので、購入の際にはしっかりとサービス内容の確認をし、交渉することをお勧めします。
デメリット
ある程度開発状況がどうなったかを実物を確認しながら購入することができますので、安心感が増します。現状のマーケットをみていると、一番確実な不動産の購入方法になります。
メリット
マレーシアマーケットでは、外国人向けのコンドミニアムは価格変動が大きく、戸建物件は価格変動が小さいという傾向があります。こうしたことも加味しながら、ご自身の予算に合った物件を購入されるのが良いかもしれません。
デメリット
気に入った物件を見つけて、購入したいけど不安もあるという場合は、最初は賃貸契約で住みつつ、2年後にその物件を購入できるという内容で契約することも可能です。
メリット
デメリット
マレーシアでは、外国人が購入できる物件には最低購入価格が州ごとに定められています。この制度は、外国人がマレーシア国内の不動産を買い集めてマレーシア人が不動産を所有できなくなることを防ぐための政策です。
マレーシアの主要エリアの最低購入価格は以下の通りです。
| 地域 | コンドミニアム | 土地付き戸建て |
|---|---|---|
| クアラルンプール | RM 1,000,000 以上 | RM 1,000,000 以上 |
| セランゴール ゾーン1(Petaling, Gombak, Hulu Langat, Sepang, Klang) | RM 2,000,000 以上 | 購入不可 |
| セランゴール ゾーン2(Kuala Selangor, Kuala Langat) | RM 2,000,000 以上 | 購入不可 |
| セランゴール ゾーン3(Hulu Selangor, Sabak Bernam) | RM 1,000,000 以上 | 購入不可 |
| ジョホール(メディニ地区除く) | RM 1,000,000 以上 | RM 1,000,000 以上 |
| メディニ地区 | 最低購入価格の制限なし | 最低購入価格の制限なし |
| ペナン島(Island) | RM 1,000,000 以上 | RM 3,000,000 以上 |
| ペナン本土(Seberang Perai) | RM 500,000 以上 | RM 1,000,000 以上 |
最低購入価格は経済情勢や政策変更によって見直される可能性がありますので、購入を検討する際は、最新の情報を確認しましょう。
さて、この規制ができてから何年も経ちますが、そもそもマレーシア人が購入したいと思う不動産と外国人が購入したいと思う不動産には大きな違いがあります。
たとえ、安い不動産があったとしても、セキュリティゲートもないエリアの物件を外国人が購入するかというとどうでしょうか?
しかも、マレーシア人が好んで購入する物件は今でもRM500,000ぐらいでの取引価額かと思います。それより低い価格の物件もあります。
そうなると、当初RM500,000からRM1,000,000未満の不動産を購入した外国人は、物件を売却したくてもマーケットがない状態(マレーシア人だけが購入可能で、しかもRM500,000以上の不動産は買いにくい層)ですし、資金があって購入できる外国人は最低購入価格規制で購入ができない、というなんとも出口の見えない状況に陥っているように感じます。
外国人の最低不動産購入価格の規制により不動産の流動性を著しく落としている可能性があるため、いくらの規制が妥当なのかを再度検証の上で見直ししてほしいと切に願っています。
現地の不動産業の感覚としては、外国人の最低不動産購入価格がRM500,000のままだとしても、外国人がマレーシアの不動産を買い漁るような事態は少ないのではないかと思っています。



マレーシアでは、外国人でも不動産購入のために銀行で住宅ローンを組むことができます。
しかしながら、年々銀行ローンを受けるための審査は厳しくなってきており、誰もが銀行ローンを使える訳ではなくなりつつあります。銀行によってローンの申し込みの条件があります。
最低条件として、MM2Hビザなどの長期滞在ビザを取得していることを条件にしている銀行が多くなっています。
銀行からすると、ローンを組んでマレーシア国外に生活拠点を持ったままではしっかり回収できるかの不安があります。そうした不安を払拭するためにも、ビザの要件を求める銀行が多いです。
ビザ要件以外にも、直近の給与明細や納税証明、資産証明など銀行が求める書類を用意する必要があります。当然ですが、しっかりと返済してくれる経済力があるかどうかの確認になります。
また、マレーシア人であれば物件価格の最大90%のローンが組めますが、外国人の場合は50~70%ほどのローンになります。
そのため、頭金として30~50%ほどの現金の用意が必要になります。銀行ローンを活用される方の属性にもよりますので、70%の融資が上限でも下限でもない点は、ご留意ください。
ローン申請は、購入予定物件の売買契約書(または予約書)とともに、パスポート、収入証明(給与明細や納税証明)、銀行残高証明などを提出して行います。銀行はこれらの情報を基に審査を行います。承認後はローン契約を締結し、売買手続きに進みます。
マレーシアで外国人でもローンを組めるというのは他の国ではなかなかないメリットになりますので、チャレンジされる方も多いかと思います。
銀行ローンの状況が上述した通りのため、基本的にはキャッシュでの購入を前提に考えられるのが良いかと思います。
ですが、全額をキャッシュで払うのは気がひける場合は、一部ローンを活用するという方法が安心かと思います。
外国人がマレーシアで不動産を購入する際は、外国人特有の制度や条件に注意する必要があります。最低購入価格や銀行ローン利用の条件、売買手続きにかかる期間などを事前に正しく理解しておくことで、購入後のトラブルや想定外の遅延を避けることができます。
制度面の基礎知識を理解したうえで、物件の活用目的や資金計画を明確にし、自分に合った購入プランを立てることが大切です。
マレーシア不動産購入をご検討の際は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。
マレーシアでの不動産購入をお考えの方は、弊社に一度ご相談ください。弊社は長年マレーシアでの不動産市況を見てきておりますので、ご予算や購入目的などに合わせてお客様にとっての最良の物件をお探しし、購入のお手伝いさせていただきます。