マレーシアでの不動産運用や所有物件の管理
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マレーシア不動産購入の注意点と物件選び|移住・投資の成功戦略

マレーシア不動産購入の注意点と物件選び|移住・投資の成功戦略

 

近年、マレーシアは日本人の移住先として存在感を増しています。

MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)ビザで不動産購入が要件の一部に加わったことで、移住と同時に物件購入を検討する方も増えました。

その一方で、現地では外国人向けの販売が加熱し、「高利回り」「値上がり確実」といったキャッチに惹かれがちです。しかし、海外不動産は“買って終わり”ではなく、“持ち続ける・出口を取る”までを含めて設計する資産です。現地では供給過剰が顕著で、投資判断には慎重になる必要があります。

弊社は2014年から現地で不動産に関わり、200件超の日本人オーナー様の物件を管理してきました。その結論は明快です。

「価格が安い=得」「利回りが高い=優良投資」とは限らない。

むしろ、「自分や家族にどう役立つか/どの価格帯なら出口があるか/税務・維持費・為替でどれだけ目減りするか」まで含めた“目利き”が不可欠です。

本ページでは、ジョホールバル(JB)とクアラルンプール(KL)の実データ比較、税務・メンテ・為替リスク、キャピタル狙いの「限定的成功」事例、中国人投資家の影響などを1つにまとめ、「住んでよし、持ってよし、売っても困らない」物件を選ぶための指針を提示します。

なお、外国人の最低購入価格条件やローン申請、購入方法といった制度やルールについては、「マレーシア不動産購入の制度と基礎知識|外国人条件・住宅ローン・購入方法」をご覧ください。

自己使用目的なら“あり”──日本では得られない住空間を合理的な価格で

マレーシアの魅力は、日本では考えられない広さ・設備が手の届く価格で手に入ること。たとえばジョホールバル(JB)の「Molek Pine 4」とクアラルンプール(KL)の新築「Pavilion Square」のスペックと価格は以下の通りです。

Molek Pine 4
(ジョホールバル)
Pavilion Square
(クアラルンプール)
広さ1,672sq.ft(約155m²)/3ベッドルーム504sq.ft(約47m²)/1ベッド
購入価格RM1,000,000 + 追加内装RM50,000
合計:RM1,050,000(3,465万円)
RM1,300,000(4,290万円)
PSF
(1平方フィートあたり)
RM628RM2,579
設備プール/ジム/BBQスペースなど充実インフィニティプール/ジム/クラブラウンジ/スカイガーデンなど充実

日本の都市部で同水準の住環境を得るには、1億円以上の予算を見込むケースも珍しくありません。

Pavilion Squareでは、1平方フィートあたりの価格はMolek Pine 4の約4倍です。同じ予算でも得られる“住み心地”は大きく異なります。

JB vs KL──価格・利回りの「現実」

KLの物件に比べ、JBの物件ではPSFが低い傾向があり、同予算で「広く・快適」な住空間を取得しやすく、表面利回りも高めとなります。

税引後の実質利回りは2%台が現実的なラインといえるでしょう。定期預金で金利3〜4%が存在するマレーシアでは、利回り勝負だけなら定期預金の方が合理的な場合もあります。

だからこそ、利回り狙いより「使いながら持てる資産か」「売却・賃貸の出口が担保できる価格帯か」を重視すべきです。

最新(2025年時点)の比較表:購入時の検討

コンドミニアム名形態平フィート平米部屋数物件価格追加内装PSF
Molek Pine 4(JB)現物1,672sq.ft155m²3RM1,000,000RM50,000RM628
South Brooks(KL)現物1,333sq.ft124m²3RM1,800,000RM50,000RM1,388
South Brooks(KL)現物1,001sq.ft93m²2RM1,300,000RM50,000RM1,349
Pavilion Square(KL・新築)新規504sq.ft47m²1RM1,300,000-RM2,579

最新(2025年時点)の比較表:運用時の検討

コンドミニアム名月額家賃年間家賃表面利回り年間経費税引前利益税引後利益実質利回り
Molek Pine 4(JB)RM4,500RM54,0005.14%RM13,000RM41,000RM28,7002.73%
South Brooks(KL)RM6,500RM78,0004.22%RM15,000RM63,000RM44,1002.38%
South Brooks(KL)RM5,000RM60,0004.44%RM13,000RM47,000RM32,9002.44%
Pavilion Square(KL・新築)RM4,000RM48,0003.69%RM13,000RM35,000RM24,5001.88%

コスト・税務・為替のリアルな視点

意外とかかるメンテナンス費用

家具・家電付き賃貸が一般的なマレーシアでは、家電故障・家具破損・水漏れなどの不具合対応をオーナーが負担します。空室にすると湿気や水回り劣化が一気に進むため、空室期間の維持管理コストも想定に入れる必要があります。

これだけは知っておきたい:メンテナンス費用の代表例

  • 家電の修理・交換: エアコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、給湯器 など
  • 家具の補修・更新: ベッド、マットレス、ソファ、ダイニングセット、カーテン等の消耗
  • 配管・水回り: トイレ・シャワー・シンクの水漏れ、排水詰まり
  • 電気系統: ブレーカー、照明、コンセント、スイッチ故障
  • 内装補修: 壁の塗装、フローリングの傷補修、シーリングの打ち直し
  • 定期クリーニング/防カビ: 空室期間中の湿気・カビ対策
  • 管理費・修繕積立金: Maintenance Fee & Sinking Fund
  • エージェント手数料・管理委託費: 賃貸募集、鍵の受け渡し、立会い等

税務と実質利回り──「思ったより残らない」構造

マレーシアで賃料収入を得ると、現地での確定申告が必要です。マレーシア非居住者(183日未満滞在)は所得30%の一律課税で、経費控除の範囲も限定的で、表面利回りがそのまま手残りにはなりません。

表面利回りを2〜3割は削る覚悟で、税金・維持費・突発修繕を“固定費化”してシミュレーションしておくと、失敗が減ります。したがって、「収益不動産としてバリバリ稼ぐ」よりも、「自己使用+柔軟に貸せる(売れる)資産として持つ」発想が現実的です。

マレーシアの不動産にかかわる税金について

為替リスク──円とリンギット(RM)の間で何が起きるか

円安局面での購入は、円建ての初期投資が大きく膨らみます。家賃はRMで入るため、円高に振れると円換算の実収益は目減りします。売却時にも為替の影響を受け、RMでは利益でも円換算では目減り(または損失)ということもありえます。

円建て資産とのバランス・ヘッジ(例:円⇄RMの両替タイミング分散)も戦略に入れておくべきです。

投資として考える場合の注意点―現地オーナーの存在

現地の不動産オーナーは、投資用の不動産を購入できるだけの財力があり、あとはちょっとした”ミエ”もあるため、ご自身の不動産の内装などをとても豪華に仕上げます。それでもテナントに入ってもらうためには、ときには賃料を抑えてでもテナントを確保します。

マレーシアの現地オーナーにとっては、不動産を持っているというステータスが一番大事で、不動産の投資利回りなどはあまり意識しない人が多いように感じます。 一方の日本のオーナー様は、投資利回りはすごく気にします。そのため、内装にかける費用は最小限にして、賃料は最大限に得られるようにしたいという思いを持っています。

想像していただきたいですが、同じコンドミニアムに内装が豪華で賃料はそれほどでもない物件と、内装が小ぢんまりしていて賃料はそこそこの物件があれば、テナントはどちらを選ぶでしょうか?

このような例からも、マレーシアで不動産投資をする場合には、他のオーナーの動向も視野に入れることが重要です。

キャピタル狙いなら“限定的成功”に学ぶべき

マレーシア人の不動産購入は、家賃収入よりもキャピタルゲイン(値上がり益)狙いが主流です。

ただし、実際にこの10年で顕著な上昇を見せたのは「Desa ParkCity」や「Mont Kiara」の高級プロジェクトなどごく一部となります。Desa ParkCity における高級コンドミニアム(例:One Central Park、Park Regent)では、周辺環境の整備や外国人需要の高まりを背景に、価格が上昇傾向にあります。

「どこを買っても上がる」わけではありません。立地・プロジェクト・供給量・コミュニティ形成力を、極めてシビアに見極める必要があります。

中国人投資家の影響──2024年以降の新たな波

2023年末にマレーシア政府が中国人訪問者へのビザ免除措置を導入したことにより、中国からの訪問者が大幅に増加し、2024年初頭にはKLCCやBukit Bintangを中心に、中国人投資家による不動産への関心が高まる動きが見られました。

「Star Residences」、「Eaton Residences」などでは、販売スピードの加速や賃料の上昇が観測され、KL中心部の価格・流動性に新たな圧力がかかっています。外的要因(外国人投資家動向)を読むことも、エリア選定の“目利き”の一部です。

価格帯の「正解」──RM100万〜180万が出口の取りやすいゾーン

  • RM100万未満:外国人購入不可のケースがあり、将来の買い手がマレーシア人に限定されやすい
  • RM180万超:コンドミニアムより戸建てを選ぶ層が増えるため、需要が細る

⇒ 最も流動性・実需・投資性のバランスが良いのは、RM100万〜180万。

Molek Pine 4(RM100万台前半)は、外国人/地元層いずれにも需要があり、出口戦略を設計しやすい代表格です。

“必ず”自分の候補物件で試算を(PropertyGuru / iPropertyの活用)

本稿の数値は代表例です。同じコンドミニアムでも階層・眺望・内装・駐車台数でPSFも家賃も激変します。PropertyGuru / iPropertyなどのポータルで最新の売買・賃貸価格を確認し、以下をご自身の候補物件で必ずシミュレーションしてください。

  • 総投資額(購入+内装+備品)
  • 想定家賃/空室率/年間経費
  • 税引後キャッシュフロー(183日ルール・30%課税含む)
  • メンテ費・更新費(年ベースでの見込み)
  • 為替(円⇄RM)シナリオ別の手取り額

まとめ──数字・維持コスト・税金・為替…“全部込み”で「買って良かった」を目指す

  • ● KLだけでなく、JBのような地方都市(特にPSFの低い現物)も真剣に検討する価値がある。
  • 実質利回りは2%台が現実。銀行定期預金(3〜4%)と比較しつつ、自己使用価値・出口の取りやすさを重視。
  • 維持費・家具家電トラブル・税金・為替を織り込んだ“手残り”で意思決定を。
  • ● RM100万〜180万のレンジであれば、外国人/地元市場の双方に出口を確保しやすい。
  • ● キャピタル狙いは“限定的成功”の再現性をどう評価するかが鍵。
  • 中国人投資家の流入など外的要因も、価格・賃料・流動性に影響する。

「住んで良し、持って良し、売っても困らない」―― この三拍子を満たす1戸を選ぶために、マレーシアの不動産購入をぜひ納得できる形で進めてみてください。

マレーシアの不動産購入に関するお問い合わせ

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